世界はゲームでできている

ゲーム制作者のブログです

スーパーマリオ3Dランド、マリオカート7レビュー

「ゲームってどこに向かって行くんでしょうかねえ?」
今回、この2本のマリオシリーズ最新作を遊んで思った次第です。

はじめは別々にレビューをしようと思ったんですが
なんかこの2本のゲームって似ているようで方向性がちがうような気がしたので
まとめてレビューをしました。


「最近のゲームって面白いですか?」
面白いかどうかで言うと「確実に」面白いんですが
それはゲーム単品で考えると面白いだけで
他のジャンルの娯楽に比べて面白いかどうかを考えると微妙だと思うんです。

どの娯楽も垣根が無くなってきて混ざってきて
比べる対象がゲームソフトごとではなくて

「ゲーム」と「テレビ」と「パソコン」と「携帯電話」の4つのうちのどれが面白い?

というようにジャンルを越えているように感じます。
それは個人レベルでは娯楽時間が限られており
時間に切迫されて遊んでいる(遊ばされている?)現実があります。

ですから、「選択する」という方向でしか遊ばざるを得ない状況なんでしょうね。
子供の頃は「外で遊ぶ」とかすることが無かった時代とはわけが違い
今は多くの中から選択する時代に来たと考えられます。


その中で生まれた今回の「スーパーマリオ3Dランド」は
古来からあるゲームに縛られた部分もありながら苦心して出来上がった秀作という印象です。
ゲーム本来の一人遊びを進化させて必要な部分をきっちりと残して
いらない部分を削ぎ落としたわかりやすさが混在して素晴らしい出来でした。

初めてマリオが3D化された「マリオ64」はゲームとしては名作であったのですが
残念ながらそれはゲームに慣れた人や方向感覚がある人にとっての名作であり
ゲームが苦手な人や方向音痴の人にとっては何をしたら良いのかわからないという
ゲームの面白さよりもゲームを遊ぶプレイヤーを選ぶ出来でした。

私自身はマリオ64を大変楽しく遊んだクチですが
周りの人に遊んでもらったところ「どこへ行ったら良いのかわからない」
「目が回る」と言って3Dに拒否反応が出る方も多かったです。

そういった過去の3D作品の問題点を考慮しながらも
2Dの目的意識の明確さを取り入れたというのがこのマリオ3Dランドという印象です。

特に3DS独自の「3D裸眼立体視」は素晴らしく臨場感ある遊びがありとても楽しさがありました。
また、今回から取り入れられた「おすすめビュー」という新しい3D視点がゲームの3D疲れを最小限にしており
これが「3DSの本当の実力」という面で期待通りの出来でした。

一人遊びというマリオの原点を極めて現代的なアプローチで制作したというのは非常に素晴らしく
この一本で3DSを購入した意味がありそうです。


しかし、3Dランドが素晴らしい出来の中
もう一方に発売された「マリオカート7」は残念な出来であると感じました。
誤解を恐れず言うと、マリオカート7は「普通に面白い」です。
それはゲーム単品で判断すると普通に面白いだけで
「時代に合わせた作りであればもっと面白くできたのではないか?」という疑問が生まれます。
それはマリオカートの制作者は「マリオカートはコミュニケーションツールである」と言い切ってしまったことに原因があると考えられます。

コミュニケーションツールであるなら、ゲームだけでのコミュニケーションに完結させないで
外部とのコミュニケーションがとれるようにすれば良いと思うのです。

ゲームで知り合ってそこから友人関係に発展しても良いと思いますし
電話でもメールでもSNSでも連絡をとりあってコミュニケーションをすれば良いのでしょう。
せっかく「すれ違い通信」や「インターネットでの対戦」ができるのに
ゲームだけ遊んでコミュニケーションしているというのは少々無理があるかと思います。

確かに「すれ違い通信から発展して対戦をできたり」とコミュニケーション機能として
任天堂としては」かなり踏み込んだ仕様となってはいますが
SNSや掲示板などが発達した現在では時代遅れと言われても仕方ないかと思います。


それが明確に現れたのは「任天堂Twitterアカウント」」です。

Twitterは相互的な宣伝ができる唯一の場なのに
任天堂の公式ホームページの更新情報しかツイート書き込みがありません。

NHKTwitterアカウントでさえ、相互でコミュニケーションして
大変面白いツイートがあるにも関わらず
任天堂のツイートは旧来の宣伝にしか使われておりません。

上記のことから任天堂SNSに対して積極でないということが理解できます。


任天堂は「安心、安全、無料」というスタンスでやっているのはわかりますが
5年前ならいざ知らず今の時代にこの考えは少し合わないと思います。

他者とつながるためにインターネットという楽な手段があるのに
楽な繋がりを遮断してしまった点に問題があるのでは無いでしょうか?

今流行のソーシャルゲームがその一つで
ゲームが面白いかどうかは別にしてゲームを介したコミュニケーションツールとしては
良いかと思います。

任天堂は「3DSの販売不振はソーシャルゲームと関係ない」と言いますが
はたして本当でしょうか?
DSで得たライトユーザーはソーシャルゲームに流れていませんか?

そういった統計的な数字がないのでわかりませんが
少なからず任天堂がそういったものを否定せず良い意味で学ぶ姿勢も必要かと考えます。

ゲーム人口の拡大が「初代DS」のテーマでした。
3DS」の「テーマ」は何でしょうかね?

そういった部分が明確化されない限り3DSは長くは続かないとは思いますが…

ということで、長々とレビューでした。